ここ数年、世界中で物価上昇の波が続いています。小麦やバター、チョコレート、ナッツ、エネルギー資源など、あらゆる原材料の価格が上昇する中で、グルテンフリースイーツを支える「米粉」についても注目が集まっています。この記事では、米の価格高騰の現状とその背景、そしてグルテンフリー業界の今後の価格動向について解説していきます。
米の価格は本当に高騰しているのか?
近年、国内外のメディアでは「米の価格が高騰している」というニュースがたびたび取り上げられています。実際、飼料用米や輸出向け米、特定品種など一部の価格には上昇が見られますが、食用米全体では一律に値上がりしているとは言えません。
また、米粉製品を扱うメーカーの中には、価格の高騰によって製造コストに影響が出ているところもあります。一方で、当店で使用している米粉は、ここ半年以上価格が据え置かれており、今のところ安定した仕入れが可能です。
このように「米が高騰している=すべての米粉製品に影響がある」とは一概に言えず、仕入先や契約内容、生産地によって状況は大きく異なります。
なぜ米粉の価格が安定しているのか?
米粉はもともと国内での自給率が非常に高く、安定供給がしやすい原材料です。国産の米粉は、輸入に頼らず国内での精米・製粉工程が完結するため、為替の影響や輸送コストの上昇を比較的受けにくいのが特徴です。
また、米粉は食料自給率の向上を目指す政策の一環として政府の支援対象になっている場合もあり、一定の価格維持が図られているという背景もあります。こうした要素が重なり、米粉は他の原材料と比較して価格の安定性が高いと言えるでしょう。
他の原材料はどうなっている?
一方で、グルテンフリースイーツに欠かせないチョコレートやナッツ、バターなどの原材料は軒並み値上がり傾向にあります。
- チョコレート:カカオ豆の不作と投機的な買い占めの影響で、2023年から価格が急騰。史上最高値を記録した月もありました。
- ナッツ類(アーモンド・くるみなど):主産地であるアメリカ・カリフォルニアの干ばつや物流コストの上昇により、長期的に値上がり。
- バター・乳製品:国際的な乳製品の需要増、酪農の減少、エネルギーコストの上昇により不安定。
- 包装資材やエネルギーコスト:物流や製造に欠かせない電力・ガス・燃料費も高騰しており、間接的に製品価格に影響を及ぼしています。
このような状況下で「グルテンフリーだから安価」とは言いづらくなってきており、むしろ品質と安全性を担保するための“適正価格”が求められる時代に入っています。

今後のグルテンフリー業界の価格はどうなる?
グルテンフリー市場はここ数年、健康志向やアレルギー対応食のニーズの高まりによって拡大を続けています。その一方で、原材料の安定供給とコストの確保が課題となっています。
当店のように、安定した契約農家や加工業者と提携し、原材料の品質と価格を長期的に維持しているブランドも増えてきました。これにより、急激な価格変動を抑える努力が業界全体で進められています。
また、企業努力によって“高品質だけど買いやすい価格”を維持する工夫も求められています。たとえば、
- 小ロット生産によるロスの削減
- 原材料の一部見直し(無添加を守りつつも代替可能なものを検討)
- 製造工程の効率化
- 長期保存可能なパッケージの導入
など、さまざまな取り組みが現場で行われています。
消費者ができる“価格と品質”への理解と応援
グルテンフリー製品が一部で「高い」と感じられる背景には、原材料や製造の丁寧さ、そして小麦アレルギーや体調を気にする方への配慮など、見えにくいコストがあることも知っていただきたいポイントです。
当店では、グルテンフリーであるだけでなく、米粉の持つやさしい甘みや、素材本来の味わいを生かす丁寧な製法にこだわっています。その上で、「安心して手に取ってもらえる価格」を維持し続ける努力を惜しみません。
まとめ:グルテンフリーの未来は“持続可能な価値”へ
米粉を中心としたグルテンフリースイーツは、価格が安定している今だからこそ、もっと広く日常に取り入れやすい存在になるべきです。原材料価格の動向に一喜一憂せず、長期的に安心して食べられる品質と価格をどう維持するかが今後の鍵となります。
当店でも、引き続き「からだにやさしくて、こころも満たされる」お菓子づくりを続けてまいります。価格が高騰しても、その背景には理由があり、丁寧な仕事の証であることを、ぜひ知っていただけたら嬉しいです。
ショップ情報

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